近年、テレビやネットニュースでも聞くようになった「空き家問題」。どうして急に、こんな話題が出てきたのでしょうか。その問題を調べました。
そもそもの背景は?
平成25年の調査で日本全国では、約820万戸の空き家が存在しているとの結果が出ていました。
適切な管理が行われていない空家があると、防犯、防災、衛生、景観等、生活環境に問題が起きてきます。勝手に住んじゃう人や、たまり場になることも考えられますよね?
そこで、生活環境の保全、空家等の活用のため対応が必要と考え、平成26年には401 の自治体が空家条例を制定しました。
経緯と今後の流れは?
平成26年
11月19日 空家等対策の推進に関する特別措置法成立
11月27日 同法公布
平成27年
2月26日 同法一部施行
(第9条第2項~第5項及び第14条・第16条を除く)
同日 基本指針の決定
5月26日 同法完全施行
(第9条第2項~第5項及び第14条・第16条のみ)
(出典:国土交通省報道発表資料より)
この法律、既に2月26日から一部施行されているわけですが、今後5月26日に完全施行される「第9条第2項~第5項及び第14条・第16条」が、かなり物議を起こすのではと考えています。
簡単にいえば、、、
「空家等対策の推進に関する特別措置法」は、簡単にいえば誰も住んでいない場所は危険だから無くしましょう!綺麗で住みやすい街づくりをしていきます!ということです。
アメリカの犯罪学者ジョージケリングが提唱したブロークンウィンドウ理論、これを元にニューヨークでは「落書きを全て消せば凶悪犯罪は無くなるんじゃない?」と考え、5年間掛けて落書きを消したところその後犯罪が7割以上も減少したという話もあります。
まあ、そもそも日本でそんなに凶悪犯罪おこってないよ!とも思えますが、誰も使っていないのに放置というのはあまり良くない様にも思えます。
空き家を持っているとどうなるの?
うちは不動産なんて持ってないから関係ない!という方にとっては、景観が保たれ良いコトですね。
しかし、
「昔、家族が使っていたが、今は誰も住んでいない家がある。」という方や、
「田舎のアパートを相続したけど、使わないし、借り手もいないので放置している」
という方もいるでしょう。
そういった方々は、この法律は要チェックする必要があります。
今回5月26日に完全施行されると、以下の部分が追加されることになります。
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9条…市町村長は、空家等の所在及び所有者等を把握しこの法律を施行するために調査を行うことができる。
14条…市町村長は、特定空家等(放置したら危ない空き家)の所有者等に対し、保全を図るために必要な措置をとるよう助言又は指導をすることができる。
16条…第十四条第三項の規定による市町村長の命令に違反した者は、五十万円以下の過料に処する。
16条2項 第九条第二項の規定による立入調査を拒み、妨げ、又は忌避した者は、二十万円以下の過料に処する
(簡単に説明しております。法律の条文ですので、解釈の誤解が出ないようにコチラからご確認下さい)
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2015年5月26日から空き家を持っている人を見つけるために、9条により市町村が調査を行い、14条によって指導を行い、16条によって過料が課せられるということなのです。
実は、それだけじゃないんだ・・・
実はそれだけではありません。
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「空家等対策の推進に関する特別措置法」(平成26年法律第127号)の規定に基づき、市町村長が特定空家等の所有者等に対して周辺の生活環境保全を図るため必要な措置をとることを勧告した場合は、当該特定空家等係る敷地について固定資産税等の住宅用地特例の対象から除外することとする。
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ということで、市町村から勧告を受けた空き家の所有者は固定資産税の支払額が増えてしまう可能性があるのです。
現行の住宅用地特例というのは、固定資産税の課税標準を以下のように減額させるものです。
小規模住宅用地(200㎡以下の部分):1/6に減額
一般住宅用地(200㎡を超える部分):1/3に減額
これまで「住んでないけど、お金もそんなに掛からないからいいか」と考えていた不動産の固定資産税が6倍に増えます。
市町村長の指示に従っても支払うお金は増え、従わなければ過料。全く使っていないのに支払うお金が増えることになるのです。
恐らく国の狙いとしては、土地の有効活用によって経済の活性化ということもあるのだと思います。(税金確保かもしれませんが…)
どんなに良い不動産であっても、短期間で売却するとなれば望み通りの条件で売却するのは難しいです。新しい利用方法を考えるとしても、期間があるに越したことはありません。
使っていない不動産は、このままほっておけば支出が増えることになります。
お困りの方はお気軽にご相談下さい。