2015年夏、不動産はネットで契約出来る様になります。

これまで、賃貸物件を契約するときには原則として、不動産業者の店舗に出向いて契約をしなければなりませんでした。 しかし、法人取引と個人の賃貸契約に限り、不動産会社が取引条件などの重要事項をテレビ電話でも説明出来るようにな仕組みが、2015年夏頃から試験的に実施される事となりました。

そもそも何故、対面じゃないとダメだったのか?

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それには昭和27年に作られた宅地建物取引業法の影響がありました。
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(重要事項の説明等)
第三十五条  宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者(以下「宅地建物取引業者の相手方等」という。)に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、取引主任者をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。
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宅地建物取引業法35条では重要事項に関する書面を交付し、説明することと定められており、この「説明」の解釈としては「対面」が義務付けられていたのです。
例え北海道の人が沖縄に引っ越そうとも、対面して説明し、契約をしなくてはなりません、その移動コスト、時間コストは大変なものでした。

全ては消費者保護のため・・・

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「どうしてそんな面倒くさいことを・・・どうせ難しいこと説明されても、わかんないんだから一緒じゃないか!」
と、考える消費者の方もいらっしゃるかもしれません。
けれども全ては消費者の方を守るために考えられてきたものなのです、不動産取引には大きな額のお金が動きます。ですから「わからなかった」では済まされませんから、重要事項の説明を対面で行うことを不動産業者に義務付けてきたのです。
よって、「よくわからない説明」をしている不動産業者(宅地建物取引士)は、しっかりと仕事をしていないと言えるでしょう。

不動産ネット取引の概要

不動産ネット取引について、ここでもう一度整理しますと、、、
  1. 現在は取引条件などの重要事項を対面で説明し、契約内容を記した書面を交付するよう不動産会社に義務づけている。
  2. 最長2年間とした試行期間中は法人取引と個人の賃貸契約に限り、重要事項の説明をテレビ電話でできるようにする。(2015年夏頃開始の見込み)
  3. 有識者会議では、通常の電話や電子メールでは説明者が有資格者であることや重要事項を正確に伝えることは困難とし、双方の表情が確認できるテレビ電話のみ有効と結論づけた。
  4. 個人の不動産売買はとくに丁寧な説明が求められるため、今回は対象外とした。
  5. 実際の取引にあたっては本人の同意を得たうえで、あらかじめ重要事項説明書を送付するほか、説明中に録画・録音を徹底するよう求める。
  6. 施行後の検証を踏まえ、本格的に運用を始めるか改めて検討する。
(出典:日本経済新聞2015.2.2、日経電子版2014.11.28) とのことなのです。 IT業界がネット取引の解禁を求める一方、違法取引が増える可能性が指摘されているそうなのですが、このルール突っ込みどころが満載に感じられます。

あの手この手の抜け穴を見つける不動産業界

約10年不動産業界に携わってきましたが、不動産業界はラフプレーが多いというのが正直な印象です。 今やもう一般的になりつつある「おとり物件」にはじまり、「礼金の乗っけ」(お客様にナイショで、貸主から言われている募集条件に礼金を上乗せして紹介)、「審査を誰でも通します!」という保証会社など。(もはや何が保証なのか分かりません、、、) それら怪しいテクニックの詳しい説明は次回以降に譲るものとしますが、とにかく、「あの手この手の抜け穴」を見つけ売上をあげるのが不動産業界なのです。もちろん全ての業者がそうだとは言いません。ただし、不動産業者の大半はそういった実態があることを認識しています。手数料商売という業界ならではなのかもしれませんが、そこは消費者保護の為にも取り締まらなくてはならないと思います。 私が考えられる抜け穴としては、事前に録画しておいた動画を再生させて重要事項説明を行う方法でしょうか。それも事前にルールで潰されるかもしれませんが、もし可能となれば、宅地建物取引士が少ない事業所などは事前に録画しておいたビデオを「見ておいてくださいねー」といって説明義務を果たした。。。なんてことも起こりかねません。 重要事項説明だけを代行する業者なんてのも出てくるかもしれませんよね、電話のコールセンターの様に。

クリックで契約に注意!

今後、ネット取引が試験実施されれば様々な問題が出てくると思います。重要事項説明がネットで行われれば、相手がちゃんと免許を持っているのか?そんな単純なことすら確認が難しくなります。 不動産業者を信用して多額の契約金を振り込んだにも関わらず、契約が締結されていなかった、連絡をしてみても業者はどこにも存在しなかった。。。 なんてことが起きないことを願っております。 しかし、インターネットを利用した取引により得られるコスト面のメリットが大きいのも事実です。適切なルールとシステムにより、業界が健全発展することを望んでいます。
ケン・トータル・コンサルティング

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